三 小豆島詩歌めぐり


 底本の書名  香川の文学散歩
底本の著作名 「香川の文学散歩」編集委員会
底本の発行者 香川県高等学校国語教育研究会
底本の発行日 平成四年二月一日 
入力者名   辻繁
校正者名   平松伝造
入力に関する注記
       文字コードにない文字は『大漢和辞典』(諸橋轍次著 大修館書店刊)の
       文字番号を付した。
      


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 小豆島を歩く

 三 小豆島詩歌めぐり

内海町 中村心海句碑(坂手洞雲山)
   たのもしや祈願じょうじゅ島四国
  壺井栄文学碑(向いの丘)
   桃栗三年柿八年柚子の大馬鹿十八年
  生田春月詩碑(向いの丘)
    「海図」
  黒島傳治文学碑(苗羽芦の浦)

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   一粒の砂の千分の一の大きさは世界の大きさである
  高浜虚子句碑(苗羽芦の浦)
   天高く雲ゆく方へ吾もゆく
  佐伯正峯句碑(苗羽芦の浦)
   果樹手入れする吾に蝶の生まれけり
 佐伯正峯句碑(苗羽芦の浦)
   島山の春をはこんで来し燕
  阿波野青畝句碑(苗羽芦の浦)
   白遍路醤油の街をこぞりくる
  壺井繁治詩碑(堀越)
   石は億万年を黙って暮らしつづけた その間に空は晴れたり曇ったりした
  二十四の瞳 岬の分教場(田の浦)
   小汐大里句碑(八幡神社)
   神懸に日のあたりきし初詣
  応神天皇歌碑(馬木)
   弓箭とる人をば守る八幡山ちかひも深し岩清水かな
  山口誓子句碑(安田栄光寺)
   神懸を写し青嶺が石となる
  大橋桜玻子(安田栄光寺)
   すさまじくなりきし芒十三夜
  西堀鵲桜子句碑
   母ゆきて習う経文梅月夜
  中田黙庵句碑(草壁 中田家)
   神懸の流れに障子洗いけり
  堀本青水句碑(寒霞渓仏々滝ケ流)
   神懸のふもとに住みて紅葉狩り
  芭蕉句碑(四望頂)
   初しぐれ猿も小簔をほしげなり
  三木朱城句碑(石門)
   時雨るるやふるさとにゐて旅心
  正岡子規句碑(老杉洞)
   頭上の岩をめぐるや秋の雲
  応神天皇歌碑(寒霞渓太陽の丘)
   淡路島いや二並び小豆島いや二並びよろしき島々、 
  誰がた去れ放ちし吉備なる妹を相見つるもの
  句碑の森(寒霞渓太陽の丘)
   オリーブの葉は白がねに春の月                    柳史                                       ほか計約五○基 
 之上句碑(草壁本堂)
    散るものにしてもはかなしけしの花
  明治天皇歌碑(西村清水)

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   思いきやあづきの島の朝霧に行先見えずなり果てむは

池田町 生田句会句碑(池田八幡馬場)
  宿の下駄履いてお遍路花を見に                松韻(真砂)
                                ほか計一六句
  平井兵左衛門顕彰碑(浜条)
   池田の住んだ義人 島の歴史が光る・・・・
  伊藤柏翠 他句碑(平木かもめ館)
   砂子撒きつつ島の月のぼる                 柏翠(伊藤)
   バス降りてよりの神懸時雨かな               大里(小汐)
   薬泉のききめ日毎にさわやかに                 明司(米倉)
  芭蕉句碑(西の滝)
   このあたり目に見ゆるものみな涼し

土庄町 三木双浦句碑(双子浦八幡参道)
   花に寝て羽化登仙の夢に入る
  三木晴州句碑(涛洋荘)
  柴舟にそふて流るる霞かな
 三枝節水句碑(本町土山)
   なむ大師遍照金剛春の風
  尾崎放哉句碑(南郷庵)
   いれものがない両手でうける
  芭蕉句碑(松風庵)
   春もややけしきととのふ月と梅
  米倉明司句碑(鹿島高見山)
   行く雲の急がずなりて春来る                明司
   戻りては照りては瀬戸の春立ちぬ              沙羅女(米倉)
  オリーブの歌碑(銀波浦)
  芭蕉句碑(赤穂屋六字庵)
   のみ虱馬の尿する枕もと
  竹谷翁歌碑(平木 藤原家)
   滝宮出で八十年の吾心ありしが酒を楽しみ書画を友とす
  森員笛句碑(黒岩 太田家)
   草ともに露も枯野の嵐かな
  芭蕉句碑(小馬越 三浦家)
   鶯や竹の小藪に老を鳴く
  中浦旅人歌碑(伊喜末八幡神社)
   顔洗い水までは積めず二十日間陸と別るる汽笛を鳴らす(東支那海出漁)
  青木圭峯句碑(淵崎 本覚寺)
   願うことなくて気易き遍路かな
  井上一二句碑(淵崎 本覚寺)

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   遍路の笠のかろかろと春を追うなり
    杖を洗うてくれかかる月 (脇)
  荻原井泉水句碑(淵崎 本覚寺)
   ほとけをしんずむぎのほのあおきしんじつ
  荻原桂子句碑(淵崎 本覚寺)
   夕となれば風の出る山荘よともし火
  荻原井泉水梵鐘銘(淵崎 本覚寺)
   水や花やさきあふれみちたたへ                               ほか三句
  赤松柳史句碑(銚子渓愛の泉)
   親猿も子猿もしたし今朝の秋
  西条八十詩碑(銚子渓愛の泉)
   「愛の泉によせて」
  湯川秀樹詩碑(銚子渓愛の泉)
   山水は清し 泉はゆたかなり ここにたたずむ人の心も
  高浜年尾句碑(琴塚 米倉家)
   山梔の花のあとなる夏芽かな                 年尾
   少女ありホ句を良くして一茶の忌               丁字路(合田)
  小汐大里句碑(タカラ洋裁)
   梅雨荒れの十分間のことなりし
  三木朱城句碑(琴塚堂)
   伝説を聞く琴塚の露にぬれ
  稲畑汀子句碑(琴塚堂)
   草萌えの野に敷く茣蓙のふくらみに
内海町 山崎照峯歌碑(福田ホテルダイリン)
   海の匂ひよ山の匂ひよ暁のふるさとに来て息づきにけり
  山口蓬人句碑(八幡神社)
   播磨灘日ゆき月ゆき楠の花
  神錢田歌碑(神錢田)    
   千早ふる神にあかなふ美かしきや葺田の稲は八束穂に生ふ
  赤松柳史句碑(いづみ公園)
   海の鳥まじかに遊ぶつつじ山
  関牧翁句碑(いづみ公園)
   この島の平和はつきず冬うらら
  山口蓬人句碑(いづみ公園)
   小豆島ひぐらし鳴きて海に月
  赤松柳史句碑(いづみ公園)
   一盃の酒に葺田の桜鯛
  亀井如雪他句碑(水晶山)
   そらかはた海かあやなし夏霞                  如雪ほか六句