図書館かがわ no.73(12K)

入力に使用した資料
 資料名 「図書館かがわ」No.73
 編集者 香川県立図書館
 発行者 同上
 発行年 平成14年2月1日

入力者:香川県立図書館
校正者:同上
登録日:2002年3月5日
      

図書館かがわ
2002・2・1  No.73 (香川県立図書館報)

ευρεσιζ(発見)




                [#写真入る]




稿本「日本辞書言海」

 ワープロやパソコンの普及がめざましく、私たちは「辞書」を引くことが少なくなった。
つい、ワープロやパソコンの辞書機能ですませてしまう。
 『広辞苑』クラスの辞書が新しく出版されたり、ひさびさに改訂版が完成したりすると、
ニュースとして取り上げられ、新語や新しい言い回しの扱いが話題となる。若い世代の言葉
も辞書に収録されれば立派な日本語となる。
 百数十年前、17年の歳月を費やして完成された大槻文彦著『言海』初版で約3万9千だ
った収録語は、たとえば『広辞苑』第5版では約23万語に達している。辞書は時代を映す。

 近代的な国語辞書の先駆けである『言海』は、明治22年から24年にかけて刊行された。
写真の「稿本」は、そのための浄書本である。
(稿本「日本辞書言海(全3冊)」覆製 1979年 大修館書店発行)  (K.Y)


出版洪水の中で

 年間に出版される書物はどれくらいあるのだろうか。詳しいデータを持っているわけで
はないが、正に“洪水のごとく”と例えてもいいであろう。書店に行けばカラフルな書物
があふれんばかりである。しかし私たちの目に触れる書物は出版されているもののごく一
部に過ぎない。大新聞に広告を出すことができて多くの書店で売られている書物は限られ
ている。中小出版社の書物は宣伝にかけられる費用も少なくしたがって知られない、発行
部数も少なく書店にも並べられない、こんな状況にあると思う。また書物の命の短さも指
摘せざるを得ない。書店に並べられてもほんのいっときである。売れない本は新しい書物
に席を譲らなければならない。
 図書館は都市部を中心に整備されてきた歴史があり、農山村部にはまだまだ少ない。図
書館のないところでは公民館図書室がその役割を持たされている場合が多いと思う。しか
し、公民館職員としての私の体験に照らしても公民館図書室が図書館の代わりをするのは
大変難しい。大体公民館は職員体制が非常に不備で専任職員が館当たり全国平均で1名に
も満たない。さらに図書購入費も少ない。図書館の役割は出版状況と住民の読書要求を知
り資料を収集整理するとともに、利用者へのレファレンスサービスが欠かせない。だから
こそ図書館は設置率こそ低いものの職員配置は平均すると6名となっている。ほとんど専
任職員のいない公民館の図書室に図書館の役割を期待するのは難しいということである。
そして図書館のない農山村には書店そのものがあまりない。そう考えると読書環境の地域
格差は大きいといわざるを得ない。香川県にもまだ公立図書館のない自治体・地域がかな
りあるわけで、それらの地域への支援を含めて県立図書館の役割は大きい。そして一般の
目に触れにくい書物や資料にも目配りをして必要な時読者の手元に届くようにする、その
ような遠大な役割はこれからも求められ続けるのだろうと思う。
                     香川県立図書館協議会委員 佐藤 進
                     (香川大学教授)


レファレンス日誌から ~もう少し手がかりを!~
 「笹島辰三郎と用水と記念碑の記事」を探して欲しい、との依頼が手紙であった。どこ
の用水なのか、どう関わったのか?と思いながら、とりあえず「讃岐人名辞書」、「香川
県人物・人名辞典」、「香川県大百科事典」、「香川県史」等、思い当たる参考図書を見
てみるが、笹島辰三郎は収録されていない。手紙には、「笹島辰三郎、用水、記念碑」と
あるが、もう少し手がかりが欲しい。例えば、出身地が分かればその市町村史を見たりで
きるのに‥‥。途方に暮れかけたころ、笹島辰三郎の雑誌記事が郷土資料の中に見つかっ
た。どうやら依頼者はこれをご覧になっていた様子。その記事のおかげで新たな資料にあ
たることができた。
 どの地域、どの分野のことなのか、どの程度詳しい情報が、いつまでに必要なのか、す
でに調べている資料はあるのか。こうした情報が多いほど、効率よく、求めに応じた調査
・回答ができる。カウンターでレファレンスを受けたときは、それを会話の中で聞くこと
ができる。いかに会話を通して情報を引き出せるか。司書の腕が問われるところだ。私の
場合、調査の途中で「あれも聞いておけば良かった!」と後悔することがしばしば。まだ
まだ修行が必要だ。依頼者の持っている情報が、調査の鍵になる場合も多い。ご質問の際
は、なるべくたくさんの手がかりを教えていただきたい。  (A.T)


図 書 館 の 本 棚
-港-

 港は古くから、物資の輸送や人々の往来の拠点としてさまざまな機能を果たしてきました。
 現在、香川県には67の港湾があり、それぞれの港が地域産業に大きな役割を担っていま
す。しかし、本四連絡橋3ルートの開通、高速道路の整備や高松空港の開港にともない、港
のもつ機能や果たす役割が変化してきました。
 明治37年に完成し「四国の玄関口」といわれた高松港も約100年を経て「サンポート
高松」の一翼として新たな歩みを始めました。
 今回は「港」に関する資料を紹介します。 (J.S)

一  般
「日本の港の歴史」 成山堂書店 6839 K7
「港湾知識のABC」 成山堂書店 6839 I2 1-7
「国際化と港」 成山堂書店 6839 H3 1-2
「エコロジー時代の港を考える」 雑誌「みなとだより」2001年11月
「港の興亡」 雑誌「ラメール」2000年11月



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郷  土
「港・みなと町」 丸山学芸図書 K6839 S2 3
「かがわのみなと 1999」 香川県土木部港湾課 K6839 K2 4-11
「香川の漁港」 香川県農林水産部水産課 K6618 K3 1-4
「愛され、親しまれる港づくりのために。」 高松港湾空港工事事務所 K5198 U1
「サンポート高松港湾再開発事業の記録」 
高松港湾空港工事事務所 K5198 U1 4



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児  童
「タグボート~港の働きもの~」 朝日新聞社 680 K7
「フランスの古い港」 西村書店 230 F1  1-6            
「かもめちゃんとみなとくんのワクワク港ものがたり」
       日刊建設工業新聞社  510  W4
「みなとがこおった日」 ほるぷ出版  J G66 1-9
「みなとをまもれ!スターのタッグス」 ほるぷ出版 J G66 1-10


県下公共図書館の新しい顔
山本町立図書館 平成13年12月4日 開館

 山本町に、お年寄りから子どもまでが気軽に学べる場所として山本町生涯学習センター
が誕生しました。
 その一角にある340㎡の山本町立図書館には、様々なジャンルの書籍・雑誌のほか、
ビデオ・DVDが視聴できるAVブース、インターネット閲覧ができるパソコンコーナー、
そして子どもたちが寝ころがってでも本が読めるよう、クッションフロアを採用した児童
コーナー等を設置しております。
 その他、このセンターには木彫・陶芸などを楽しむことができるクラフト工房や、和室、
研修室もあり、幅広い年代の方にご利用いただけます。(提供:山本町立図書館)



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お 知 ら せ

<企画展示>
「ワールドカップ早わかり(図書館編)
~読んで納得!見て納得!調べて納得!ワールドカップ」
平成14年2月5日(火)~3月17日(日)
 当館所蔵のサッカー・ワールドカップ関連資料の紹介やサッカー・ワールドカップにつ
いてパネルを使った解説など。また、特別出品として2002年ワールドカップ代表候補
選手数名のサイン色紙、サイン入りユニフォーム、サッカーボールなども展示します。


<県民ギャラリー>
  展示コーナーを生涯学習の成果を発表する場としてご利用いただくため、昨年度に引
き続き、今年度も「県民ギャラリー」を開催しました。期間は5月29日~11月25日
の間。参加は団体・個人あわせて10企画。竹細工や押し花絵、トールペイント、写真な
ど多様な作品の展示が行われました。
 平成14年度も募集予定です。皆様の多数の参加をお待ちしております。


編集・発行   香川県立図書館、(財)香川県立図書館・文書館管理財団
        〒761-0393 高松市林町2217-19
(香川インテリジェントパーク内)
                  TEL 087-868-0567
FAX 087-868-0607
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