図書館かがわ no.70(13K)

入力に使用した資料
 資料名 「図書館かがわ」No.70
 編集者 香川県立図書館
 発行者 同上
 発行年 平成13年2月1日

入力者:香川県立図書館
校正者:同上
登録日:2001年7月17日
      

図書館かがわ
2001.2.1  No.70(香川県立図書館報)

 ευρεσιζ(発見)




               [#写真が入る]



『プランゲ文庫雑誌コレクション』-香川県刊行分

 古書目録に目をとおしている。古い極秘資料から広告・チラシ類まで、様々なものが載っ
ていて勉強になる。古書の価格には、その時々のニーズや価値観といったものが反映されて
いるのだろう。昭和52年に数百万円した西鶴本も、明治中頃には大工職人の日当二日分にも
満たなかったそうだ。読み捨てられてきたものに、歴史的価値が生まれることはよくあるこ
とだけれども、将来何がどう必要とされるかを見極めるのは難しい。図書館が地域で発行さ
れた資料の収集に力を入れ、保存しておく理由とどこか似ている。

   昭和20年~24年の間、GHQは日本国内で発行されたすべての刊行物を収集・管理して
  いた。これらは現在、メリーランド大学でプランゲ文庫として保存されている。内容は、
  あらゆる分野に及ぶ図書・雑誌・パンフレット・公文書類。雑誌では6割を地方出版物が
  占め、日本ではほとんどみることができない。
   香川県内分には、『印象』『こどもの国』など58種類の雑誌を収録。『汗』の表紙には、
  検閲によって〝LEFTIST〝、文中の宣言文に〝disapproval〝と記されている。
   文生書院(発売)1999年発行 マイクロフィッシュ版


子どもは愛のことばの貯水池

 青く澄んだ秋空。上を見上げて「あのお空を開けたら何があるん?」。
  ある新聞の『あのね-子どものつぶやき』という投書欄の、広島市の三歳の子どものつぶ
やきである。子どもの心の一瞬の思いに、青空の果てにある宇宙のきらめきが散りばめられ
ている。ことばを獲得したばかりの子どもたちは、大人の想像力を揺さぶる詩人だ。
 強い木枯らしで赤や黄色の落ち葉が空に舞っている。「お母さん、秋が飛んでるね」。
これは大宮市の二歳の子どものつぶやきだ。
 隙あらばなんでも拾って食べてしまう動物の赤ちゃん。それが短時間で豊かな心と魂を
持つ人間になる。それはことばの力だ。
  子どもがニ、三歳でことばの深い働きを会得し、その個性を育むには、周りからの愛情に
溢れたことばかけが必要不可欠である。ことばが子どもを育む。子どもはことばの貯水池。
子どもに大切なのはたくさんの贈り物ではなくて、愛情に満ちた豊かなことばだ。
 120年余り前、英国人女性イザベラ・バードは東京から北海道までの困難な旅をして、日本
の従順な子どもたちを好きになった。そして、いかに家は貧しくとも、子どもを慈しみ自分
の家庭生活を楽しむ大人たちの姿を記している。また、赤ん坊の泣き声を聞いたことがない
と記している。いまの子どもたちもそうした幸せを味わっているだろうか。
 現代の豊かな物に囲まれた暮らしの中で、学校生活の中で、子どもたちのことばの貯水池
には豊かな水が注がれているだろうか。子どもたちの心が育っていれば、新しい時代をひら
く力が確かに蓄積されていることになる。
 子どもたちに問題があるなら、子どもたちが豊かなことばを学ぶことのできる新しい社会
を構築すればよい。学校や地域社会の図書館に、読み聞かせや物語りを持ち寄る試みも広が
りをみせている。豊かなことばのネットワークで結ばれる社会では、どの子も目を輝かせて
いるにちがいない。               香川県学校図書館協議会長 永澤正好


レファレンス日誌から

「電子メールによるレファレンス」
 昨年10月、当館のホームページをリニューアルし、電子メールでもレファレンスを受け付
けるようになった。ホームページの「レファレンス」のフォームに表題、氏名、質問内容等
を入力して送信すれば、調査後、メールにより回答が届くというサービスだ。
 この4ヵ月ほどで、いろいろな質問をいただいている。例えば、県外からの「壷井栄に関
する資料は所蔵しているか」「豊島の気象状況が知りたい」という香川県に関する質問や、
「月極駐車場の『月極』はなぜ『月決め』ではないのか」「『きつつききつつき…』という
歌い始めの童謡はなにか」など。
 直接来館できないときや、電話では伝えにくい、込み入った内容のとき、また、急いでは
いない気軽な質問の場合、電子メールは便利だ。自宅や職場にいながら、詳しい内容を電話
よりも確実に伝えられる。また、都合の良い時間に質問、回答を受けることができ、文書を
郵送するより早く、気軽にやりとりができる。
 お急ぎの場合は電話で、込み入った内容や、好きなときに質問したい場合は電子メールで、
と使い分けていただければ、より適切なサービスを提供できるだろう。パソコンが身近にあ
る方は、どうぞご利用ください。

ホームページアドレス
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図 書 館 の 本 棚

―20世紀をふりかえる―
 年が明け、いよいよ21世紀の始まりである。「21世紀」という言葉には、どこか明るい響き
がある。このような思いは昔も同じであったらしい。ちょうど100年前、1901年の日本では「20
世紀」という言葉を日常会話で使うことが流行したようだ。この年の1月2日の報知新聞では、
さっそく「20世紀の予言」という特集を組んでいる。あいにく、実際に「20世紀」をどのよう
に日常会話に用いたのかという記録は見当たらないが、おそらく、人々はこの言葉に、新しい
時代への期待を込めて使っていたのであろう。1900年、スウェーデンの思想家エレン・ケイは
著書『児童の世紀』(原書名:『Barnets arhundrade』)のなかで、20世
紀こそは子どもが幸せに育つことのできる社会をと主張をしている。果たして、20世紀は百年
前の人々が夢見たような世紀であっただろうか。ここ数年の出来事を思い返しても、子どもた
ちが幸せに育つ世紀という意味での「児童の世紀」という言葉は当てはまらないようだ。100年
前と比べ、私たちの生活は非常に豊かで便利になった。しかし、まだ、何か足りないものがあ
るような気がしてならない。21世紀という新しい時代に私たちがなすべは何なのだろうか。今
一度、20世紀を振り返り、考えてみる必要があるのではないだろうか。
 そこで今回はそのための資料を紹介する。

一  般
 「100人の20世紀 上・下」
     朝日新聞社 2097 A5 1-1~2
 「20世紀どんな時代だったのか」
     読売新聞社 2097 Y2 2-1~8
 「20世紀は人間を幸福にしたか」
     講談社 30400 Y29
 「20世紀精神史」
     毎日新聞社 2097 M8
 「ことばの20世紀」
     自由国民社 8147 G4


                 (井写真が2枚入る)

郷  土
 「主要紙面に見る郷土90年」
     四国新聞社 K2100 S8 6
 「目で見る小豆島の100年」
     郷土出版社 K2340 S6
  (同シリーズ:<高松・東讃><中讃・西讃>)
 「昭和の忘れ草…消えた言葉・生活」
     NHK文化センター高松 K3821 T5

児  童
「日本の生活100年の記録」全7巻
     ポプラ社 210 N14 1-1~7
「くらべてみよう100年前と」全5巻
     岩崎書店 210 K11 1-1~5
「写真でみる20世紀の日本」全6巻
     PHP研究所 210 S12 1-1~6
「日本人の20世紀・くらしのうつりかわり」全10巻
     小峰書店 210 N13 1-1~10


県民ギャラリー

 当館では、閲覧室展示コーナーを生涯学習の成果を発表する場としてご利用いただくた
め、平成12年5月23日~11月12日の間、「県民ギャラリー」を開催しました。
 参加は団体・個人をあわせて7企画。長尾町のBamJoy塾による竹細工・竹工芸品、
身体障害者療護施設の入所者が製作した絵画や書道、丸亀ひまわり文庫が製作した布絵本
や遊具など。また、木彫作品や写真など様々なジャンルの作品が数多く展示されました。
製作者の熱意と個性あふれる作品に、来館者は足をとめ見入っていました。
 来年13年度も募集予定です。多数の参加をお待ちしております。

 
                (井写真が2枚入る)


お 知 ら せ

「IT講習」が始まります!
 今、私たちの暮らしは、「IT」を巡り急激に変化しています。
 IT講習は、すべての住民のみなさまが「IT」に十分対応できるよう、地方公共団体が
学校、公民館などの地方公共団体の施設や民間の施設などを利用してITに関する基礎技能
を習得していただくために開催する講習です。
 具体的には、パソコンの基本操作、文書の作成、インターネットの利用、電子メールの利
用などの基本的な技能を12時間程度の講習時間で学びます。
 県立図書館では、市町にさきがけて今年3月よりIT講習を開催します。
 詳しくは、後日、開催要項にて発表します。
   問い合わせ先  香川県立図書館 〒761-0393 高松市林町2217-19
                             TEL 087-868-0567
                                                   FAX 087-868-0607

  IT(アイティ)とは、Information Technology(インフォメーション テクノロジー)
  の略で、日本語に訳せば「情報通信技術」となります。情報通信分野に関する技術を利用
  する方法のことをいいます。インターネットを使って情報を集めたり、電子メールで遠く
  の人と連絡をとったりすることはその一例です。


図書館の資料は県民共有の財産です。返却期限を守りましょう。


編集・発行    香川県立図書館、(財)香川県立図書館・文書館管理財団
         〒761-0393 高松市林町2217-19 (香川インテリジェントパーク内)
         TEL 087-0393   FAX 087-868-0607